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毎年、記憶を失う彼女の救いかた

珍しく小説の感想です。小説自体読むの久しぶりだったんですけど、最近ぽつぽつ読むようになりました。
 
私は静岡県の出身なのですが、この本は静岡県の浜松市が舞台となっています。手にとったのはそれがきっかけですね。県内限定カバーなるものもあるらしいんですが、私は通常バージョンを買ってしまいました……。県内限定カバーは本編中でも出てくるあの場所ですね。良い……。
 
内容はタイトル通り、1年に一回記憶を失ってしまう女性が主人公です。主人公の尾崎千鳥は、毎年両親が亡くなった事故の日が近づくと、両親が亡くなってからの1年間の記憶を失ってしまいます。そんな彼女の前に見知らぬ男性が現れ、「ぼくと1か月デートして、正体がわかったら君の勝ち。どんな関係だったか、どうやって出会ったのか。わからなかったらぼくの勝ち」と賭けを持ちかけます。両親から貰った大切な時計の在り処を知っているという彼からの持ちかけに千鳥は応じ、二人のデートが始まります。
 
浜松市が舞台とあって、デート先はほぼ浜松市内でした。「へ〜あ〜そこ〜」って思いながら読んでました(笑)。しかし成人二人のデートにパ●パ●はどうなんですかね(しかも滞在時間は数十分と思われる)。
まぁそれはさておき、以下はネタバレ含むのでたたんでおきます。ネタバレ入れないで読んだ方がいいタイプの話だと思うので。

いや〜。なんか……いいですね……。どうして天津真人が千鳥のためにそこまでするのかっていうのがわかったときは今までの彼の行動がすべて愛に思えてきました。実際愛なんですけど。千鳥のことだけは感情が覚えていて、それが彼にとっての希望で救いだったんですね。そんな希望をくれた彼女を自分も救いたいと。毎年記憶を失って苦しむ彼女に、自分がもらったように希望を見せたい。たとえ今後自分が命を落とそうとも……という……。愛……。愛ですよそれは……。帯に「すべての伏線が、愛――」と書かれているんですけど、全くその通りで。千鳥からは不審に思われた彼の行動全てが愛ゆえのものだったんですよ……。
天津真人の日記で千鳥がそれらを全て理解してからも良かったですね。雇ってほしいという電話をかけることができて、彼女もついに一歩進めたんだなと。
そして最後の病室でのやり取りがめちゃめちゃ好きですね……。思わず「君の文字」が頭の中で流れ出しましたけどそれはさておき。千鳥のことを忘れてしまったけど、でもやっぱり感情がどこかで覚えているんでしょうね。あぁ〜……愛……。それに対する千鳥の返しが最高すぎてうるっときました。多分千鳥もこの後彼が自分にしてくれたように二人のデートを再現していくんでしょ……。これも愛……。下手したら千鳥もまた記憶を失う可能性があるじゃないですか。でもきっと彼女はやるんですよ。もう一度好きになってもらう計画を。
 
 
「浜松でデートすんのかよ!(笑)」みたいな感じで読み始めた(出会いは浜松城ですしね)本だったのですが、よかったです。終盤でタイトルが回収されたときにうわーーってなりました。天津真人が書いていた小説ってこういう感じだったのかなぁなんて。
二人のその後は描かれていないけど、そこを想像するのも楽しいですね。二人がお互いを覚えていられる日はくるのか……。くるんだろうな。愛だから。

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